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介護技術担当の上野邦靖です。よろしくお願い致します。

 

世の中様々な介助方法がありますし、それぞれ素晴らしい取り組みをされていると思います。私の意見もそのうちの一つとして見て頂ければ結構です。
要は、利用者が楽で辛くなく、介助者も無理のない介助の考え方はどのようなことだろうか?
なるべく、誰にでもできるような方法をご紹介出来ればいいと考えています。
...
まず最初の記事は何にしようかと思いましたが、職場での一番基本の移乗介助を振り返って頂きたいと思います。

 

車椅子ーベッドの移乗です。
現場でよく見るのは介助者が、利用者の両脇に手を差し込んで「よいしょ」と上手投げのように釣り上げるように移乗してはいないでしょうか?

 

モノを持ち上げなくても、立ったままで少し前傾姿勢になると腰に負担がかかります。40度くらいでも負荷はかかるのではないでしょうか。朝歯磨きをして前かがみになるくらい。それくらいで手でカラダを支えていないと腰痛持ちの人は辛い時があるのではないでしょうか?
ということは、介助せずとも姿勢だけで体に負担が蓄積しているのではないでしょうか?

 

ならば、なるべく立ったままの前傾姿勢は取らない習慣付けをしたいものです。
移乗介助の時は、腰を落として利用者を引きつけて一緒に立ち上がるような動きができると良いのではないでしょうか。
立ち上がる力が衰えた方の場合、その方のコミュニケーション能力や筋力に応じて介助の度合いを変えていく。そういう個別性を検証し実践に移していく観察力と技術を介助者は持たなければいけないのではないでしょうか?
そうでなければ、プロとは言えません。その前に自分の体を壊してしまいます。

 

観察力と実践力を得るには、移乗介助の基本を振り返る必要があります。
車椅子ーベッドの移乗を行う場合、「立ち上がり」の要点を知る必要があります(さんざんどこでも言われていることです。今更なにを?と思われる方も多いでしょう)。

 

私たちは「立ち上がり」を行うことはスムーズに行えます。それこそ何にも意識しなくても自然に出来ます。
でも体が衰えると、立ち上がるだけで2~30分掛かってしまうのではないかと思えるのです(手術後のトイレに行く時実感したことがあるので確かです。重力が10倍にでもなったような気がしました)。

 

そういう時、確かめるように体を動かしました。立ち上がるには、立ち上がりの姿勢を取らないと立てません。
ベッドサイドに端座位になった時、どう動いたでしょうか。
・足をしっかり床につけました。
・左右の手をベッドにつけて体を支えました。
・頭からゆっくりと前に倒し前傾姿勢になりました。
・足裏に体重を乗せるように足を引きました。
・ゆっくりと腰を上げて体を伸ばすように上げました。
そしてやっと立ち上がれました。

 

日頃は意識しませんが、これだけの手順があります。

 

移乗介助する上でこの手順がどれだけ自立して出来るのか?それが観察・検証出来ていなければ、適切な介助はないでしょう。手を掛けすぎれば廃用症候群となり、何もしなければ過用・誤用症候群となります。
その毎日の積み重ねがADLの質を変えていくでしょう。そして釣り上げるような介助は介助者の体を蝕みます。

 

しっかりと立ち上がれない場合も多々あります。その時は足の付き具合や腰がどれだけ浮かせられるか、どれだけコミュニケーションがとれるかで介助の度合いを調節してください。

 

そして介助者は腰を落として利用者の体のバランスをとる方がよいでしょう。

 

一連の動きをイメージしたものが下の図です。
ご利用者の姿勢を支え回転するポイントをご理解して頂けると思います。日頃当たり前に行っている動きにもこれだけの専門性があるのだとお分かりいただけるのではないでしょうか?

 

利用者の視点を想像しながら動きの観察をして頂きたいです。
そして実践できてこその技術です。

 

 

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介護福祉自主勉強会「笑福会」北陸支部のブログです。これからの介護福祉士に必要な事は何か?「根拠のある介護」そして「創造的な理論・技術」を主軸とした「ベイシス&クリエイティブ・ケア」をテーマに、マネジメント・介護理論や技術など多々考えています。

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